「運動しましょう!」って言われませんか?

「リハビリ=運動」とイメージすることが多いと思いますが、これは最終的な結果論であって、リハビリ専門職の方々は「生理学」「解剖学」「神経生理学」などの知識と「疾患の特性」「評価」から、その方の目標に応じて、身体機能に適したトレーニングを行うため、筋・骨格系への促通手技、学習による動作習得として「運動」を取り入れています。

「運動」という言葉は、健康増進として筋力アップや運動不足解消などの意味でも使われてもいますが、動作を学習しての習得を目指すものや体を動かしやすくなるような目的など、様々な意味を持つことになります。

では、「運動すると病気にならない?」とはどういうことでしょうか。

運動と免疫機能の関係

運動時に見られる免疫機能の変化は、免疫系だけではなく、神経系・内分泌系とが相互作用して調整されています。

運動による生体反応は、交感神経系の活動を活発にさせることになり、血流増大、心拍数増加、呼吸量増加、脂肪分解などが起こります。この交感神経系の経路は、視床下部から橋-延髄-脊髄へ各臓器-副腎随質となっています。この副腎皮質から分泌されるカテコールアミンにより、血圧上昇、酸素消費量増加、血糖上昇、筋内グリコーゲン分解による乳酸上昇などが起こる。

免疫細胞そのもののが、神経系・内分泌系に影響して、眠気、体温上層、食欲減退などが起こります。人間の免疫といえば「白血球」です。運動によって「白血球」の数は増加し、運動の強度と時間で変化します。特に運動強度に比較するのは、ナチョラルキラー細胞(NK細胞)が増加します。少し増加するものとして、好中球、単球、好酸球があります。逆に、運動後の数時間は、リンパ球と好酸球が一時的に減少すると同時に、好中球が増加します。1時間以上の運動になると、好中球を中心に増えますが、運動負荷によって身体への負担が増えたことによる反応によるものです。

運動と免疫の関係について

 

好中球

好中球は、短時間・強度の強い運動に伴って、2回大きな変動があります。一度目は運動後すぐに安静の2倍程度まで増加。二度目は、運動開始から2−3時間後に遅れて乗じるもので、安静時の2倍以上に増加します。また、1時間以上の持久性運動(最大酸素摂取量の60%以上)でも増加することがわかっています。質、好中球の濃度が高くなったということで、殺菌効果が高まるということはなく、体内での組織損傷や炎症に関与する可能性があるとされています。

 

NK細胞

急速な運動に最も反応する免疫細胞は、NK細胞になります。短時間・高強度の運動負荷の運動直後で、安静時の約6倍近くまで増加します。ただ、運動終了時には半数程度までに減ってしまうほど、劇的に変化する細胞でもあります。原因としては、運動により血流が増えることによって、NK細胞を刺激されることで起こります。1時間以上続く運動となる場合、NK細胞数は運動前よりも減ってしまい、運動後数時間から1日かけて回復します。

 

T細胞

NK細胞よりも少ないが、細胞数は増加します。しかし、最大酸素摂取量の75-80%で45-90分の持久性運動で運動前より1-2割程度減少、2時間以上のランニングでは半数程度まで減少してしまいます。

 

免疫系細胞

 

免疫グロブリン(Ig)

この免疫グロブリンは、細胞として存在するのではなく、粘膜での防御機構として腸管膜、気道粘膜、乳汁中、唾液、涙液に存在します。マラソンのような高強度・高負荷な運動後に分泌量・濃度が減少します。低〜中等度の運動強度では減少しません。また、高強度の運動を毎日行っていると、免疫グロブリンが低いままとなってしまいます。

 

炎症反応

炎症のイメージは、何かしら悪化して起こるもの捉える人もいると思いますが、基本的には免疫による反応です。負荷の大きい激しい運動を行った数時間後に、炎症を引き起こす因子(炎症性サイトカイン)が数倍に上昇します。但し、半減期が10−20分程と短く、尿に排泄されるものです。生体反応として、この炎症反応を抑えようと働くようです。また激しい運動の後は、筋肉に炎症性サイトカインが溜まりやすくなります。

マクロファージ、T細胞、NK細胞を活性化させる信号は、激しい運動をすることで低下してしまいます。さらに運動で続けることで、免疫の活性化が抑えられてしまいます。逆に、体液性免疫やアレルギー反応が促進させる信号が多くなります。

運動による免疫効果

激しい運動は・・体には良くない?!

結論から言うと「過酷な運動を行うと風邪をひきやすくなる!」。つまりは、免疫機能が低下してしまうということです。
マラソンやトライアスロンのような高負荷・長時間となる運動後、2週間程度で50-70%の人が風邪症状(咳・発熱・倦怠感など)となると言われています。選手レベルでは、通常の人の2-6倍のリスクとなっており、上気道感染症(風邪症候群)が原因です。その高負荷運動によって免疫機能が一時的に下がってしまったことや運動中に上気道が乾燥・冷却などの影響で上気道部で病原体を排泄しにくくなり、ウイルス感染を起こしやすくなってしまいます。

また、多くの方が経験したことがある「筋肉痛」。様々な説がありますが、激し運動後には、筋肉に好中球・単球が溜まり易くなります。運動による筋損傷の修復に作用しますが、過剰な炎症反応は逆に筋肉を破壊してしまうことになります。これが筋肉痛となる要因ではと考えられています。

感染リスクと運動の関係

 

運動は適切に行うと・・・良い影響がある

運動はエネルギー消費を高めることで、糖尿病、高血圧、肥満などの生活習慣病の改善・予防になることがわかっています。また、免疫機能としては、加齢とともに低下(免疫老化)し、病気にかかり易くなったり、発がんの原因になったりすると言われています。しかし、適切に運動習慣により、免疫細胞が活性化し、免疫機能の低下がある程度抑えることができると言われています。「がん」と運動効果については、大腸癌はほぼ確実に発癌予防効果があると言われています。肺がんと乳がんは可能性が示唆されています。

 

免疫系に負担をかけないように運動してみよう

このように運動によって健康増進する可能性と損なう可能性があることをわかっています。では、どのくらいの運動が良いのでしょうか?
 ・最大酸素摂取量50-60%
 ・1日20-60分までとして
 ・週3回以上を継続
このような運動が健康を増進させる条件として提案されています。しかし、不慣れな運動や急に負荷を上げる運動を行うと、筋肉痛や怪我のリスクもあるので、運動の負荷は徐々に上げていくものがよいと言われています。運動負荷に慣れが生じてくると、運動効果が半減してしまうことがあります。なので、疲労を残さない程度の運動を長期間継続できるように勧めることが健康を保つ要素になります。

まとめ

今回は、運動をすると病気にならないのか? と言う点で書いてました。結果論からすると、自身にとって負荷の高い運動は怪我や身体故障のリスクだけではなく、免疫機能を下げてしまい、病気の元となってしまいます。また免疫系は、運動で下がるのは、ウイルス・細菌などへのものであり、アレルギー反応の免疫系は過剰になり、アレルギー症状を強めてしまうこともあります。
適切な運動を行うことが、生活習慣予防や筋力UPだけでなく、免疫系の強化にもつながり、「健康」的な心身の獲得につながるのではないでしょうか。

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