前回、効果的な手洗い方法として、自宅などで行える環境で、簡易的に行える手洗いから、徹底的に行える手洗いについてまとめました。今回、うがいの効果とその方法についてまとめてあります。参考までにどうぞ!
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うがいをしているのは・・・
今回の新型コロナウィルスや風邪、インフルエンザなど感染症が流行すると、うがい・手洗いをこまめ行ったり、推奨されることは多いですよね。「手洗い」については、世界的にも推奨されていますが、「うがい」を行う習慣は、海外にはほぼなく日本独自での習慣になっています。
これには理由があって「うがい」の方法の違いが原因であると考えています。
うがいも「くちゃくちゃ」「がらがら」など様々な方法があるようですが、世界的なうがいはどうやら日本で行われているうがいとは違うようです。口をゆすぐ程度でも「うがい」としているようであり、私たちが普段から行っている「がらがら」の喉うがいは知られていない「うがい」のようです。
うがいは効果があるのか?
そもそも、なぜ「うがい」が良いと言われるのでしょうか?
うがいの目的は「咽頭(のど)」を洗浄して清潔に保つことです。
私たちの咽頭には、粘膜があって、食べたり飲んだりすることで、絶えず洗い流されています。通常は、菌やウイルスは粘膜から侵入する前に洗い流されます。
しかし、咽頭の奥(扁桃や扁桃の奥)については、食べたり飲んだりしても、粘膜は洗われることはほとんどないため、ウイルスや菌が粘膜の内部に侵入しやすくなっています。
風邪に掛かる時は、咽頭の奥部分(扁桃)の粘膜に細菌やウイルスが侵入して、腫れていることが多いです。病院で診察する時に、お医者さんが口をあけて喉を見ることが多いと思いますが、これは腫れている咽頭部分を確認することが多いです。
この細菌やウイルスに侵入されやすい部分に対して「うがいで洗う」ことで、ウイルスや最近から体を守ることができるということです。つまり、喉の奥(扁桃)まで洗い流すことができる「うがい」は効果的であるということになります。
うがいの働きとは?
先ほどの説明のように、うがいはウイルスや細菌を洗い流しますが、風邪になる原因は、この咽喉粘膜からの侵入以外に、気道からの侵入もあります。
咽喉(のど)から肺にかけての気道という器官があり、その軌道内にせん毛という細い線上のものが生えてまして、体の外から入ってきたウイルスや細菌などの異物をせん毛によって粘膜に付着させ、体の外にだすという役割があります。
しかし、せん毛が乾燥してしまうと、異物を体の外へだすという働きが鈍くなってしまい、気道・気管にウイルスや細菌が侵入しやすくなってしまいます。
この「せん毛」の働きを、戻してくれるのが「うがい」です。うがいをすることで、咽喉(のど)が潤い、せん毛の働きを高めることができることができ、風邪の元になるウイルスや細菌の侵入を防ぐことができます。
うがいの方法
口の中は、常に潤っていますが、風邪になりやすい部分は咽喉の奥(扁桃あたり)であることから、扁桃あたりの粘膜をあらうような「うがい」をする方法が必要です。
要するに「がらがらうがい」です。
真上を向いてのうがいは、実は口の中だけになってしまうので、少し斜め上を向いて、咽頭(のど)の奥の方に水が当たるようにしたうがいが良いと言われています。
口の中から喉までの守るうがい方法を提案
- 口の中を洗い流す(2回)
水を口に含んで、グチュグチュと洗い流す - 咽頭(のど)を洗い流す(3回)
もう一度水を口に含んで、やや斜め上を向
いて、のどの奥でガラガラうがいをする - 1・2ともに15秒程度
このうがい方法は、まずは口の中を洗い流した後、その後に喉の奥を洗ううがいになります。手洗いと同様に数秒では効果ないので注意が必要です。
より効果的なうがいをするには?
感染予防の観点から考えると、うがいだけでは効果は低いです。このうがいと合わせて行うことで、うがいの効果を高くなります。つまり、ウイルスや細菌の感染予防効果を高めることができます。
- 手洗いを忘れない
手や指には、バイキンや汚れが溜まっており、手をきれいに洗ってウイルスや細菌、汚れを落としてから、うがいをすることが感染予防のポイントになります。(「ウイルスから守る有効な手洗い方法とは?」に詳細な方法を紹介)今回は、手洗いをする一連流れと注意点を記載しておきます。
・手洗いの前に指輪や時計などは外しておく
・石鹸を泡だてる
・流水でしっかりとせっけんを洗い流す
・清潔なタオルでよく拭き、乾かす - 帰ったらすぐに行う
外出先から戻ってきた時にはなるべく早めに行いましょう。また、チリやホコリが舞う掃除の後も、うがいを行うことが感染予防に効果的です。 - うがいは水で大丈夫
ウイルスや細菌から感染予防するには、毎日のうがいとして、水のみのうがいで十分な効果が得られます。
2005年に京都大学の予防医療学教室の川村孝教授らの実験で、水うがい、うがいをしない、ヨード液うがい薬でのうがいから風邪の発症を比べたところ、水うがいが、うがいをしないのに比べ、約40%の風邪の発症を抑えましたという結果を得ています。つまり、水うがいだけでも十分に効果があるというになります。
うがいに関する予備知識
うがい効果のない感染
うがいの効果は風邪の感染予防と出していますが・・・。効果がないこともあります。
それは、「インフルエンザ」の感染対策です。
インフルエンザウイルスは、咽喉(のど)の粘膜に付着してから20分以内に洗い流さないと粘膜から体内に侵入してしまいます。つまり、数分おきにうがいで咽喉(のど)を洗い流さないといけない訳ですので、現実的には難しいものになります。
インフルエンザ感染に対しては
マスク(うつさないためのエチケットが基本)と手洗いで感染予防しましょう。緑茶に含まれるカテキンとテアニンがインフルエンザの発症を減少させる効果がありますので、お茶を飲むことをすすめます。
うがいができない人?難しい場合は?
こまめに水分を摂ることをお勧めします。
感染経路として、咽頭(のど)粘膜からの感染ですので、咽喉(のど)で洗い流して、水分で胃にまで流し込んでください。胃にまで流し込んだウイルスは、胃酸によって殺菌される感染のリスクは減ります。
まとめ
参考文献:
福井順子.うがい効果の検討 第一報.口腔・咽頭科 10(3), 419-425, 1998
河野えみ子.うがい効果の検討.口腔・咽頭科 15(2), 199-207, 2003
川村昌嗣.効果的なうがいの仕方・風邪の際の対応の仕方.日本未病システム学会誌12(2).306-310,2006